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トロント・クライメート・ウィークが示す、ラボの先にあるもの

トロント・クライメート・ウィークが示す、ラボの先にあるもの
写真提供:Hiroki Kudo

出典: Climate Tech Canada

こんにちは。

今週新しく登録してくださった皆さん、ようこそ。今回は数日間の出張から戻り、トロント・クライメート・ウィーク(Toronto Climate Week、TOCW)で得たいくつかの気づきをお届けします。市内各所で200以上のイベントが開催されたため、すべてを網羅することは不可能ですが、特に印象に残ったいくつかのテーマと、それがカナダのクライメートテックの現状について何を物語っているかをご紹介します。

クライメートテック業界の最新動向

  • NS/TXが代替タンパク質生産を拡大するため1,050万米ドルを調達
  • TDとDeep Skyが10年間のCDR(炭素除去)契約を締結
  • カナダの地熱資源をマッピングするチーム

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トロント・クライメート・ウィークで聞いたこと

5日間にわたり200以上のイベントが開催されたトロント・クライメート・ウィークは、カナダのクライメートテックが「これは本物なのか?」という段階を過ぎ、資本構成や市場タイミング、スケールアップに必要な要素といった、より難しい議論に移行していることを示しました。

見えてきた適応(アダプテーション)の波

温暖化する気候の現実が身近に迫る中、需要が高まる製品・サービス――つまり「適応」が、投資テーマとして台頭しています。

  • Adapt[us]のDarren Clifford氏は、明快な前提を示しました。「もし2.5°Cの温暖化が実際に起きるとしたら、それは投資先や建設場所をどう変えるのか?」という問いです。
  • Evok Innovationsは、気候変動によって顧客需要が現れ始めていることを理由に、ファンドIVの投資テーマに適応を加えました。
  • 保険会社Definityにとって、この10年で保険金請求が倍増したことは新たな現実を示すサインです。被災前の状態に顧客を復旧させるだけでは不十分であり、予防と適応においてより積極的な役割を果たす必要があります。
  • ただし、このテーマはまだ不透明です。イグジットの道筋は明確でなく、買収者候補も明らかではなく、「損失回避」を売り込むこと自体が難しいという課題があります。

現実世界での構築

クライメートテックは単に技術を開発するだけではありません。ラボからスケールアップし、複雑で商業規模のプロジェクトをまとめ上げることが求められます。

  • FGSのAmit Modi氏は、財務モデルの次に必ず確認するのが「リスクレジスター」だと言います。オフテイク契約からサプライチェーン、プロジェクトパートナーに至るまで、ピッチの前にあらゆるプロジェクトリスクを洗い出すべきだとしています。
  • Canada Growth Fundは、市場のニーズに応えつつプロジェクトリスクを管理するため、ステージゲート方式を採用し、マイルストーン達成に応じて資金を解放しています。
  • 現在のラウンド調達に集中する創業者も、長期的な視点を持ち続ける必要があります。次世代のファーストオブアカインド(初号機)プロジェクトへの見通しを示し、投資家に長期的なゲームプランを提示することが重要です。

クリーンAIが主役に

CleanAI Initiativeがカナダのエコシステムに関するレポートを発表し、カナダがすでに気候分野でのAI活用でリーダー的存在であると主張しました。

  • クリーンAIはニッチではなく、基盤的な成長セクターです。AI向けベンチャーキャピタルの11%がクリーンAI関連アプリケーションに紐づいています。
  • カナダのポジショニング(AI人材+資源経済+クリーンテックの専門知識)は強力ですが、効果を積み上げるには集中が必要です。バンクーバー、トロント、キッチナー・ウォータールー(KW)、モントリオールはそれぞれ異なる強みを持っており、それらを連携させる必要があります。
  • AIがエネルギー需要やクライメートテックを変えつつある中で、このイベントがこのテーマを取り上げた数少ない機会の一つだったという事実は、カナダでこの分野がまだ十分に注目されていないことを示唆しています。

カナダという選択肢

カナダの気候政策は近頃まちまちなシグナルを発していますが、現場での実際の動きは明確です。

  • カーボンソリューションのパネルディスカッションでは、国際企業をカナダに引き寄せる要因が実在することが示されました。規制の安定性、豊富なクリーンエネルギー、米国市場への近さ、資源へのアクセスなどです。
  • Meadow Lake Tribal CouncilのTina Rasmussen氏は、Microsoftが先住民コミュニティや産業界との協働を、15年間のCDRオフテイク契約をまとめる上での「障害」ではなく「価値観を共有するパートナー」として捉えていたと語りました。
  • 一方で、スピードと連携のギャップは依然として残っています。ArcTernのNikhil Shukla氏は率直にこう表現しました。「ベイエリアの案件がより速くまとまるのは、資本ネットワーク全体が信頼の上に機能しているからだ。カナダ版はまだ形成途上にある」。大型のイグジットが増えることで、その信頼の実績(トラックレコード)が築かれていきます。

結論:より多くの企業が商業化という試練を経験する中で、クライメートテックをめぐる議論は急速に成熟しています。信頼ネットワーク、プロジェクトファイナンス、機関投資家によるオフテイクなど、野心を積み重ねていくための仕組みづくりこそが、今後数年の課題です。

資金調達・取引ニュース

NS/TX(オンタリオ州トロント)は、Inter IKEAとLever VCが主導するシリーズAラウンドで1,050万米ドルの資金と助成金を確保し、代替タンパク質製造プラットフォームの拡大を図ります。NS/TXは、生産能力を10倍にするV2自動組立ラインを構築中です。

SensorUp(アルバータ州カルガリー)は、重工業向け監視プラットフォームのために、Pender Venturesが主導する成長資金調達ラウンドをクローズしました。SensorUpは油井の生産量、フレアリング、メタン漏洩を監視しており、今回の資金を新規産業への展開とエージェント型モデリングの開発に活用します。

Picketa(ニューブランズウィック州フレデリクトン)は、作物分析プラットフォームのために、Tall Grass Venturesが主導するシード資金210万ドルを調達しました。肥料価格が高騰する中、Picketaは植物組織を分析し、生産者が肥料使用を最適化できるよう支援します。

EECOMOBILITY(オンタリオ州ハミルトン)は、バッテリー試験プラットフォームのために、RiSC Capital、Automotive Ventures、および大手自動車メーカー(OEM)が支援する追加資金調達ラウンドをクローズしました。この資金は、国際的な商業展開の拡大と製品強化に充てられます。

BeNat(ケベック州シャーブルック)とLocal Energy(ケベック州モントリオール)が、Climate Solutions Prizeのスタートアップコンペティションで優勝しました。

Lyrata(オンタリオ州トロント)は、屋内農業向け持続可能な土壌代替品で、Springから20万ドルの投資を獲得しました。

NORAM Electrolysis Systemsがリチウム精製事業の拡大に向けて560万ドルを獲得。バンクーバーを拠点とするNESIは、電気化学的リチウム精製の規模拡大のため、連邦・州政府から560万ドルの資金提供を確保しました。

ドイツのTKMSは、アルバータ州で大規模なDAC(直接空気回収)を開発するため、Heirloomおよびthyssenkruppと覚書(MOU)を締結しました。この合意は、TKMSがカナダ向け潜水艦建造に応札する取り組みの一環です。

General FusionとEavorが、最も好業績の企業としてTime誌のTop GreenTechリストで1位と2位にランクインしました。HydrostorとCarbon Upcyclingもリスト入りしています。

カルガリーを拠点とするKathairosは、石油・ガス現場の空気圧機器においてメタンを多く含む天然ガスを液体窒素に置き換えることで、CO₂換算で100万トン相当の排出を削減しました。

TD BankはDeep Skyと10年間の炭素除去オフテイク契約を締結し、直接空気回収施設から18,000クレジット以上を購入します。

GIT Coatingsは、船舶プロペラ向けの次世代グラフェンコーティングを発表し、付着物の蓄積を減らして性能と燃費を向上させます。

Bruce Powerは、オンタリオ州の原子炉の改修工事を予定より7カ月早く、予算より1億5000万ドル少なく完了させ、稼働期間を2064年まで延長しました。

Jetsonは、カリフォルニア州全域で住宅電化サービスを開始しました。

Climativeは、米国で住宅向けエネルギー改修のための顧客エンゲージメントプラットフォームを開始し、住宅所有者が自宅の資産価値を活用して改修を行えるよう支援します。

Cascade Instituteは、カナダの地熱資源を機械学習で地図化したCanadian Thermal Modelを発表し、地熱エネルギーへの投資を促進します。

米国のVema Hydrogenは、ニューファンドランドのニッケル・コバルトプロジェクトで工学的ミネラル水素を生産するため、First Atlantic Nickel & Cobaltと提携しました。

食料安全保障戦略:カナダは国家食料安全保障戦略を発表し、食料生産・加工・流通にわたって36億ドル以上を投じることを約束しました。特筆すべきは、屋内農業向けに7億5000万ドル、Farm Credit Canadaのプロジェクトファイナンス向けに10億ドルの基金が含まれている点です。

「重要なポイント:食料バリューチェーンは排出量の大きな発生源であり、カナダ人にとって経済的な重圧も増大しています。新たな支援策は、冷蔵、屋内農業、熱回収などの分野での導入を後押しすると同時に、国内の食料供給源の確保にもつながる可能性があります。」

低コストの電力調達:オンタリオ州は最新の電力入札において、州史上最も低コストの発電容量の一部を確保しました。そのすべてが再生可能エネルギー由来です。新規の蓄電池容量のコストは前回入札より36%低くなりました。

EV義務化:ケベック州は、サプライチェーンと貿易上の問題を理由に、2035年までのゼロエミッション車義務化目標を80%に引き下げました。一方、BYDはフラッシュ充電ネットワークをカナダに展開する可能性があります。

炭素対応の基盤整備:ケベック州は、炭素隔離に関する規制枠組みを州として確立するための基盤となる新法を可決しました。連邦のインセンティブを活用するには、州レベルの規制が必要です。

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※ こちらの記事はClimate Tech Canadaの翻訳記事になります。

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